始めに戻って、1階のベランダの下から探しました。
夜が明けて、明るくなった分、探しやすくはなりました。 心配で心配で、どうしていいかわからないのに 何故か、咲耶は絶対に戻ってくるという確信が いつも心の中にありました。 咲耶が心配だけど、不思議なことに不安はありませんでした。 1階のベランダの下を端までくまなく探して やっぱりいない…他を探そう…と思った時 視線の端を茶色い影がかすめました。 見ると、咲耶が1階のおうちのベランダの隅にうずくまって じっとこちらを見ていました。 私が住んでいたマンションは1階のおうちのベランダから 裏庭に出られるようになっています。 そのお宅のベランダの柵が開いていて、咲耶はそこから入ったみたいです。 ネコを見つけても、いきなり近寄っては逃げてしまいます。 小声で名前を呼びながら、少しずつ近寄って行きました。 咲耶は相変わらず、隅っこで震えています。 眼が怯えています。 ある程度近づくと、すっと立ち上がって逃げようとします。 柵の隙間から、ネコ缶を入れてみました。 戸惑いながらも、食べに来ます。 手を伸ばそうとすると、気配を察して、また隅っこに隠れてしまう。 そんなことを2~3回繰り返し、じっとにらみ合っていました。 どうしよう、こんなことをしていても埒があかない…。 こちらのお宅にお願いして、ベランダに入れて頂こうか…。 お部屋のカーテンは閉まっていて、中は真っ暗。 まだ7時になるかならないか、そんな時間にインターホンを鳴らすなんて 非常識にもほどがある…。 入れて頂けたとしても、いきなりベランダの窓が開いたら きっと驚いて逃げてしまう…。 ベランダの洗濯物が眼に留まりました。 どう見ても3日は干しっ放し…もしかしてお留守…? もう、迷ってる暇はない! 靴を脱いで、ベランダへ 逃げようとする咲耶を更に隅へ追い詰めて、素早く捉まえ 抱きかかえて、ネコ缶を持って脱兎のごとく ベランダから脱出、一目散に階段を駆け上がりました。 4階のうちのドアを閉めて、咲耶を抱きかかえたまま しばらくはドキドキがおさまりませんでした。 「咲耶、大丈夫。おうちに着いたからね」 あ…あれ…?咲耶…? 慌てて、咲耶を逆さまに抱いていたようです…。 そして、反対の手にはネコ缶を握りしめてました…。 こうして咲耶は戻って来てくれました。 幸いにもかすり傷ひとつなく、しばらくはおとなしかったものの その日のうちには、我が家はもとの状態に戻りました。 「人がネコを選んで飼うんじゃなくて、ネコが人間を選んで その人を幸せにするために飼われている」 ブリーダーさんの言葉をしみじみ思い出しました。 ネコと人も赤い糸で結ばれているんですね。
by Sarasvati.
| 2005-02-16 22:26
| にゃんこ
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